対象と対照と対称の違い
ビジネスにおいても、プライベートにおいても、「たいしょう」という言葉をよく耳にします。これには、「対象」と「対照」と「対称」の3つの漢字があり、それぞれの意味をご存知でしょうか? また、日常的に、どのように使い分ければよいのでしょうか?
ここでは、同音異義語である「対象」と「対照」と「対称」について、その意味や違いを簡単にまとめてみました。
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対象の意味
対象は、働きかけ(行為)の目標となるもの、また哲学では、意識や感覚、行動などの作用が向かうものをいいます。これは、日常的には、「調査の対象」や「恋愛の対象」など、目標となるものという意味で使われており、英語で言えば、「target(ターゲット)」が該当します(哲学の意味では「object(オブジェクト)」)。
<対象の使用例>
・妊娠期から就学前の子育て世代を対象に支援している
・調査は、資本金10億円以上の大企業を対象に実施した
・自主映画を対象とした日本初の本格的なコンペティション
・公的保険の対象外で、多額の自己負担が課題となっている
・対象商品を注文すると様々なキャンペーンに参加できる
対照の意味
対照は、比べ合わせることや照らし合わせること、全く性質の違う物どうしを並べ比べた時に、その違いがきわだつこと(コントラスト:contrast)をいいます。これは、日常的には、比べ合わせるの意味と、コントラストの意味の二つで使われており、また対象や対称と異なり、「対照的」という言い回しも使われます。
<対照の用例>
・その闇と光の対照が作る陰翳が美しい
・貸借対照表のように合うべき数字がピタッと合う
・小豆色のアクセントクロスに映える対照色をセレクト
・音楽の色彩が舞台のモノトーンと対照をなして映える
・既に確認された過去の事例と対照し、信憑性を検討した
対称の意味
対称は、互いに対応してつりあうこと、また数学では、点対称や線対称、面対称の総称、物理学では、結晶面の間の規則正しい関係の一つをいいます。これは、英語では「symmetry(シンメトリー)」が該当し、また日常的には、"左右対称"や"上下対称"など、複合語で使われることも多いです。
<対称の用例>
・非対称対戦型サバイバルゲーム
・新開発の非対称パターンを採用した
・インフレ目標のシンメトリー(対称)にコミットする
・横から見ると前後が対称に見える斬新なデザインを採用
・トリミングされた上に左右が対称になるよう修正されていた
対象と対照と対称の違い
最後に「対象」と「対照」と「対称」の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。
・対象:行為の目標
・対照:比べ合わせること
・対称:互いに対応してつりあうこと
◎英語で言えば、対称は「target(哲学の意味ではobject)」、対照は「contrast」、対称は「symmetry」である。
◎それぞれで意味が異なっており、「対象」は「調査対象」や「恋愛対象」、「対照」は「比較対照」や「貸借対照表」、「対称」は「左右対称」や「非対称」などを思い浮かべると、区別しやすい。