指示と指図と指導と指南の違い
ビジネスシーンにおいて、日常業務や外部委託、コンサルティングなどで、当事者間でコミュニケーションをする場合、指示や指図、指導といったことが行われます。身近な例で言えば、会社や役所などの組織において、上司が部下に仕事をさせる場合、指示や指図、指導などは大きなカギとなります。
ここでは、誰にでも身近な概念である「指示」や「指図」、「指導」、「指南」について、その意味や用法、違いを簡単にまとめてみました。
目次:コンテンツ構成
指示の意味と用法
指示(しじ)は、 物事をそれと指さして示すこと、人を指図することやその指図(命令)をいいます。これは、ゆびさすやさし示すを意味する「指(し)」と、しめすを意味する「示(じ)」からなる用語で、日常的には、事務的な事柄に関して用いられることが多いです。
<指示の用例>
・開発工事の一時中止を指示した
・上司に指示を仰ぎ、その指示に従った
・リーダーは座って指示を出しているだけではダメだ
指図の意味と用法
指図(さしず)は、他の者に対して、何か物事をいいつけてさせることやその内容をいいます。これは、ゆびさすやさし示すを意味する「指(さし)」と、ある枠の中にモノの形を描いたものを意味する「図(ず)」からなる用語で、日常的には、命令的な意味合いが強く、人を動かす場合に用いられることが多いです。
<指図の用例>
・元請けから現場監督が一人来て指図していた
・上から目線で指図するな、あごで指図するな
・他人からああしろこうしろ指図されるのが大嫌い
指導の意味と用法
指導(しどう)は、ある目的や方向に向かって教え導くことをいいます。これは、ゆびさすやさし示すを意味する「指(し)」と、ある方に引っぱっていくを意味する「導(どう)」からなる用語で、日常的には、相手をより良い方向に導くために、教える側が寄り添って助言し、親身になって取り組む場合や、不祥事や問題などに対して是正させる場合に用いられることが多いです。
<指導の用例>
・決して上から押し付けるような指導はしない
・シュートやドリブル、パスの仕方などを指導した
・他の職員に襟を正して行動するように指導していく
指南の意味と用法
指南(しなん)は、何かを教え導くことをいいます。これは、指南車(古代中国の方角を示す車)が常に一定の方位を指示したことに由来する用語で、日常的には、武術や芸能、テクニックなどを指導する場合に用いられることが多いです。
<指南の用例>
・ご指南いただけるとありがたいです
・日本一に導いた自身の成功体験を指南した
・伝統芸能の舞などを指南する教室が開かれている
指示と指図と指導と指南の違い
最後に「指示」と「指図」と「指導」と「指南」の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。
・指示:物事をそれと指し示すこと
・指図:物事をいいつけてさせること
・指導:ある目的や方向に向かって教え導くこと
・指南:武芸や芸能などを教え導くこと
◎「指示」は誰かに事務的な事柄をさせるものなのに対して、「指図」は誰かに物事をいいつけてさせるものであり、命令的な意味合いがより強くなっている。
◎「お前に指図されたくない」と言っても、「お前に指示されたくない」とは言わず、「指図」は感情的なもつれ(反感)が起こることもある。
◎「指示」と「指図」はできることを前提としているのに対して、「指導」と「指南」はできないことを前提とし、教育的な意味合いがある。
◎「指導」と「指南」は、どちらも教え導くという意味があるが、その対象については「指導」の方が多く、日常的には「指導」の方が広く使われている。