意図的と恣意的の違い

ビジネスやプライベートにおいて、「意図的に昇進させる」や「意図的な行為」、「恣意的に運用する」、「恣意的な審査」といった言い回しを耳にすることがあります。これらの中に出てくる「意図的」と「恣意的」は、どちらも「何らかの目的を持ってわざとそうするさま」と解釈している人が多いのではないでしょうか?

ここでは、知っているようでいて意外と知らない、「意図的と恣意的の違い」について、簡単にまとめてみました。また、似た感じの用語(意識的、故意的、作為的)についても、簡単にまとめてみました。

目次:コンテンツ構成

「意図的」の意味と用法

意図的(いとてき)は、何らかの目的を持ってわざとそうするさまをいいます。これは、ある人がはっきりとした考えや目的があってそうする場合に用いられ、例えば、「意図的に昇進させる」といった場合、「将来の幹部候補生として鍛えたり、能力を見極める」といった意図や目的があることを示します。なお、本用語は、善意の場合も、悪意の場合も用いられます。

<意図的の用例>

・政治的対立をあおる行為を意図的に試みていた
・為替相場を意図的に操作して自国通貨安に導いている
・昨今、意図的に作り出された嘘のニュースが蔓延している

「恣意的」の意味と用法

恣意的(しいてき)は、その時々の思いつきで物事を判断するさまをいいます。これは、ある人が論理的な必然性がなく、思うままに(自分の好きなように)ふるまう場合に用いられ、例えば、「恣意的な審査」といった場合、「何らかの論理があって適否等を決めたわけではなく、自分の好きなように適否等を決めた」といったことを示します。

<恣意的の用例>

・国際法を恣意的に歪曲し解釈している
・アンケートは恣意的に記入する人も多い
・恣意的な評価であり、正当性はなく無効である

「意識的」と「故意的」と「作為的」の意味

「意図的」と「恣意的」に似た感じの用語に、「意識的」と「故意的」と「作為的」があり、以下のような意味となっています。

●意識的(いしきてき)の意味

自分でわかっていながら、わざとするさま。

●故意的(こいてき)の意味

わざとそうするさま。

●作為的(さくいてき)の意味

わざと行ったさま、不自然さが目立つさま。

「意図的」と「恣意的」の違い

最後に「意図的」と「恣意的」の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。

・意図的:何らかの目的を持ってわざとそうするさま
・恣意的:その時々の思いつきで物事を判断するさま

◎「何らかの目的を持ってわざとそうするさま」を意味するのは、「意図的」であり、「恣意的」ではない。実際、様々な文章で「恣意的」の誤用が多いので注意。

◎「意図的」には、それなりの意図(目的)が入っているのに対して、「恣意的」には、通常、大した意図もなく、思いつきで、いい加減である。

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