遵守と順守の違い
ビジネスシーンにおいて、「法令を遵守する」や「ガイドラインの遵守」、「社内ルールの順守」といった言い回しを耳にすることがあります。これらの中に出てくる「遵守」と「順守」は、どちらも「じゅんしゅ」と読む同音語ですが、一方でどこが違うのでしょうか?
ここでは、少し堅い感じのする言葉である「遵守」と「順守」について、その意味や用法、違いを簡単にまとめてみました。
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遵守の意味と用法
遵守は、法律や道徳、習慣、決まりなどを守り、従うことをいいます。これは、筋道を外れないや規則に従うことを意味する「遵(じゅん)」と、まもることを意味する「守(しゅ)」からなる用語で、日常的には、公用文や教科書、契約書などで用いられています。
一般に遵守は、「順守」より古くから広く用いられており、また漢字の構成を見ると、「順守」と比べて、守る・従うという意味合いが強い感じがします。
<遵守の用例>
・道路交通法第71条(運転者の遵守事項)
・安保理の決議を遵守することを厳しく求めた
・社内でコンプライアンスの遵守を改めて徹底していく
順守の意味と用法
順守は、「遵守」と全く同じ意味で、法律や道徳、習慣、決まりなどを守り、従うことをいいます。これは、筋道に従って進むことを意味する「順(じゅん)」と、まもることを意味する「守(しゅ)」からなる用語で、日常的には、新聞や雑誌などのメディアで用いられています。
一般に順守は、1954年に「遵」という漢字が当用漢字表から外す案が発表されたのに伴い、新聞や雑誌などでは「遵」の代わりに「順」の字を当て「順守」と表記するようになりました。その後、1981年に当用漢字表が廃止され、常用漢字表になった際にも「遵」の字は残りましたが、それ以降も、慣例的に「順守」が使い続けられています。
<順守の用例>
・関係法令を順守し、安全に実施している
・本来守るべきルールが順守されていなかった
・パンフレットで登山マナーの順守を呼び掛けている
遵守と順守の違い
最後に「遵守」と「順守」は、結論をいえば、同じ意味の言葉ですが、一方で以下のような違いもあります。
◎公用文や教科書、契約書などでは「遵守」が使われるのに対して、新聞や雑誌などでは「順守」が使われる。ちなみに、「遵法」と「順法」も、同様な使い分けがなされている。
◎ビジネスシーンでは、法令文書や契約書などには「遵守」が使われ、それ以外にはどちらも使われることがあり、実際の使用にあたっては、社内の使用状況に合わせるのがよい。