異常と異状の違い
日常生活の中で、「価格が異常に高い」や「心身に異状をきたす」といった言い回しを聞くことがあります。これらの中に出てくる「異常」と「異状」は、どちらも「いじょう」と読む同音語ですが、一方でどこが違うのでしょうか?
ここでは、似た感じのする用語である「異常」と「異状」について、その意味や用法、違いを簡単にまとめてみました。
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異常の意味と用法
異常は、「正常」の反対で、普通と違っていることやいつもと違うことをいいます。これは、他と違っていることを意味する「異(い)」と、特別でないことを意味する「常(じょう)」からなる用語で、日常的には、普段と異なっている様子を述べる場合に用いられます。また、異常事態や異常行動、異常信号、異常増殖、味覚異常、屈折異常など複合語でもよく用いられます。
<異常の用例>
・健康診断での血液検査で異常が発覚した
・新幹線が車両の異常を検知して緊急停止した
・制御系の異常で冷却システムがうまく動作しなかった
異状の意味と用法
異状は、普通とは違う状態のことをいいます。これは、他と違っていることを意味する「異(い)」と、物事の様子を意味する「状(じょう)」からなる用語で、日常的には、普段とは違った悪い状態の様子を述べる場合に用いられます。
<異状の用例>
・巡回完了。全館、異状なし!
・ストレスから心身に異状をきたして退職した
・検査結果では、これといって異状は認められません
異常と異状の違い
最後に「異常」と「異状」の違いをざっくりとまとめると、以下のようになります。
・異常:普通と違っていること
・異状:普通とは違う状態
◎「異常」は、普段と異なっている様子をいうのに用いられるのに対して、「異状」は、普段とは違った悪い状態の様子をいうのに用いられる。
◎「異常」は、普段の状態との異なりのほうに重点があるのに対して、「異状」は、普段とは異なった状態そのものに重点がある。
◎「異常」は、名詞だけでなく、形容動詞としても使うのに対して、「異状」は、名詞としてのみ使う。