開業の基礎を理解する
開業(起業)するにあたって、個人事業でやるにせよ、会社組織でやるにせよ、最低限の基礎知識は必要です。特に会社の形態や仕組み、届け出などは、行政手続きや税務などとも絡むので、しっかりと理解するようにしましょう。また、届け出関連については、期日もあるので、事前に役所で確認するとよいでしょう。ここでは、事業の形態、株式会社と合同会社の違い、公的機関への届け出について簡単にご説明します。
事業の形態は?
一般に事業をする形態には、個人事業と会社組織の2つがあります。
|個人事業
・信用度は会社組織に比べて低い(本人の信用がカギ)
・非常に簡単に始められる
・事業失敗時は個人責任が問われる
|会社組織(株式会社、合同会社、合名会社、合資会社)
・信用度は個人事業より高い
・最低資本金額が1円以上になったものの、設立に手間がかかる
・法律にのとった運営が必要
株式会社と合同会社の違いは?
2006年5月の会社法の施行以降、会社を設立する場合、会社類型は、株式会社と持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)になりました。これにより、かつての株式会社と有限会社は、1つの会社類型(株式会社)として統合され、また持分会社の類型には、合同会社という新たな形態が追加されました。
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
最低資本金 | 規定なし(1円以上) | 規定なし(1円以上) |
出資者の数 | 1名以上 | 1名以上 |
出資者の呼称 | 株主 | 社員 |
出資者の責任 | 有限責任(出資額内) | 有限責任(出資額内) |
出資分の譲渡 | 原則として自由 | 社員全員の承諾 |
最高意思 決定機関 |
株主総会 | 全社員の同意 |
役員数 | 取締役1名以上 | 設置規定なし |
役員任期 | 取締役2年、監査役4年 ※株式譲渡制限会社は10年まで延長可能 |
規定なし |
会社代表者 | 取締役 ※代表取締役を定めることも可能 |
(業務執行)社員 ※代表社員を定めることも可能 |
決算公告 | 必要 | 不要 |
特色 | 一般的な会社の形 | 日本版LLC |
公的機関への届け出は?
実際に開業すると、公的機関への届け出がいろいろとあります。以下では、個人事業と会社組織の2つに分けて簡単にまとめてみました。
|個人事業のケース(主要なもの)
税務署 | 個人事業の開業届出書 | 開業の日から1カ月以内 |
---|---|---|
棚卸資産の評価方法の届出書、減価償却資産の償却方法の届出書 | 確定申告書の提出期限 | |
青色申告承認申請書(青色事業者の選択時)、青色専従者給与に関する届出書(専従者がいる時) | 開業日が1月15日以前は3月15日まで、開業日が1月16日以降は開業の日から2カ月以内 | |
給与支払事務所等の開設届出書(給与を支払うようになった時) | 給与支払いを始めた日から1カ月以内 | |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 随時 | |
都道府県税 事務所等 |
事業開始等申告書 | 開業後すみやかに |
|会社組織のケース(主要なもの)
税務署 | 給与支払事務所等の開設届出書 | 開設の日から1カ月以内 |
---|---|---|
法人設立届出書 | 設立の日から2カ月以内 | |
減価償却資産の償却方法の届出書、棚卸資産の評価方法の届出書 | 最初の確定申告書の提出期限 | |
青色申告の承認申請書 | 設立の日から3カ月以内orその事業年度の終了の日のいずれか早い日 | |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 兼 納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書 (希望する場合) | 特例を受けようとする月の前月末日まで | |
都道府県税 事務所等 |
法人設立申告書(事業開始等申告書) | 会社設立の日から1カ月以内(東京都は事業開始日から15日以内) |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険新規適用届、新規適用事業所現況書、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 | 事業開始後5日以内 |
労働基準監督署(従業員を雇用したら) | 労働保険関係成立届 | 労働保険関係の成立日の翌日から10日以内 |
適用事業報告 | 労働者を使用するようになったらすぐに | |
公共職業安定所(従業員を雇用したら) | 雇用保険適用事業所設置届 | 雇用保険の適用事業所となった日の翌日から10日以内 |
雇用保険被保険者資格取得届 | 労働者の雇用日から10日以内 |